
Kraftwerk / Pocket Calculator
ピコピコ音の魔術。Technoの未来を44年前に描いた電子芸術
ピコピコ音の魔術。Technoの未来を44年前に描いた電子芸術。1981年、世界はまだ「コンピューター」と「音楽」を自然に結びつけて考える時代ではなかった。そんな中、ドイツの電子音楽集団Kraftwerkは、テクノロジーそのものを音へと変換し、未来のサウンドを提示してみせた。その象徴こそが、8枚目のアルバムComputer Worldに収録された名曲Pocket Calculatorです。今回レコメンドするのは、アメリカ市場向けに特別プレスされたUS Promo盤12インチシングルで、B面には日本語ヴォーカルによるDentaku(電卓)を収録している点も見逃せない1枚っ!
電子音が語り始める、人間と機械の対話
イントロから響く電子音は、まるで子どものオモチャのような愛らしさと、精密機械のような冷たさが同時に存在している不思議な質感を持っています。RolandやMoogのアナログシンセを駆使して生み出されたピコピコ音は、リズムを刻むたびに「人間と機械の対話」を強くカンジさせる。一定のテンポで進行するミニマルなビート、その上に乗るシンセメロディは一切のムダがなく、どこか数学的でありながらも、Kraftwerk特有のユーモアとPopセンスが確かに宿っている。単なる機械的電子音ではなく、まるで電子楽器そのものが微笑んでいるような温かさをカンジさせるトコロがサスガですね。
無機質なヴォーカルに込められた哲学
Ralf Hütterの無機質なヴォーカルが淡々と歌う「I’m the operator with my pocket calculator(私は電卓を操る)」というフレーズは、コンピューター時代への風刺であり、同時にKraftwerk自身の音楽哲学をそのまま言語化した宣言のようにも響きます。感情を極限まで抑えたトーンだからこそ、そのメッセージは逆に強く、鋭くリスナーの意識に突き刺さる。Emil Schultによるリリックは、テクノロジーに対する皮肉と愛情を絶妙なバランスでブレンドしており、まるで人間が「機械に恋する」瞬間を描いているかのような印象すら受けますね。
N.Y.クラブ・カルチャーへ与えた衝撃
当時、N.Y.のクラブシーンではこのPocket CalculatorがElectro Funkや初期HipHopのDJたちに強烈な衝撃を与えました。Afrika BambaataaやThe Egyptian Loverらがこのサウンドから多大な影響を受け、後のElectro HipHopやTechnoの基盤を築くキッカケとなったのは有名なハナシです。シンセサイザーをリズムマシンと並列に扱うという発想そのものが、後に「Techno」や「Electro」というジャンルを決定づける重要な分岐点となりました。
言語を超える電子音楽という思想
また、ライブでは開催国の言語で歌うというKraftwerkの遊び心も、この曲を語るうえで欠かせません。ドイツ語のTaschenrechner、フランス語のMini Calculateur、日本語のDentaku(電卓)と、どのバージョンであっても「音楽は言語を超える」というKraftwerkの理念が見事に体現されています。US Promo盤に日本語ヴァージョンが収録されているコト自体が、すでにひとつのアート表現と言えるでしょう。
今もなお未来として鳴り続けるサウンド
針を落とせば、44年前に描かれた「未来の音」が今もなお鮮やかに鳴り響く…。機械仕掛けのリズムの中に潜むユーモアと詩情、冷たさと温度感の絶妙な同居…これぞKraftwerkという名の「Techno Popの原点」です。US Promo盤のジャケットもまた秀逸で、幾何学的なデザインがサウンドと完全にシンクロしているカンジですね〜。飾って良し、聴いて良し、まさに「電卓」で奏でるアート・ピースっ!
1981リリース
























